昔、沖縄では神様と交流する能力「霊力」は女性の 方が男性より優れていると考えられていました。その 優れた霊力によって女性が男性より優位に立つとする 関係は兄弟と姉妹の間でも成立していました。これが 「オナリ神」信仰です。オナリ神信仰では、兄弟「エ ケリ」に対して姉妹「オナリ」は霊的に優位に立ち、 兄弟を護り祝福する霊力を持つと信じられてきました。 沖縄の方言「うない(姉妹)」は「オナリ」が語源と 言われています。一般庶民の間では「うない」、王族 の神女(ほとんどが王家の姉妹)は「オナリ」という 使い分けがあったそうです。 9世紀前後から登場したといわれる按司(あじ=地域 の権力者)のオナリ神はノロ(祝女)と呼ばれていました。按司の治める領地においてはノロは神女としての最高地位を占めていました。また、政治的な重要な祭事にも関わり、地方村落を琉球国王や按司の専制的支配下に編み込む役割も果たしました。ノロは「祈る」あるいは「祈る人」という意味から由来していると言われています。
国頭村には「オナリ神」の信仰が今も残っており、沖縄県内でも大変珍しい「女性だけのエイサー」が今も継承されています。やんばるの農耕地域ではおもろ歌を唄うのは神女であり、そのオナリ神を祭る祭祀は女性達の仕事でした。そうした風習等からやんばるでは女性だけのエイサーを行われるようになったとのことです。